■建築と時間と妹島和世

■監督:ホンマタカシ,出演:妹島和世
■建築ユニットSANAAは知っています。 今回はユニットから離れて、大阪芸術大学アートサイエンス学科の新校舎を設計・施工から完成までを追った妹島和世のドキュメンタリー映画にしています。
妹島が仕事をしているところを映像で観るのは初めてです。 彼女は模型を重視している。 紙で作り続ける。 模型が身体を納得させないと先へ進まない。 現場で違和感があっても模型に戻り良し悪しを判断する。 視覚と触覚の統合が重要にみえます。 でも「ロレックス・ラーニング・センター」(2009年)では模型だけでは見落としがあったらしい。 それだけ複雑だったのでしょう。
出来上がった新校舎は自然体が素晴らしい!、・・実際に見学していないので中身は何とも言えないのですが。 周囲環境との融合を重視している。 今回はコンペとは違い予算処理がいつもと違ったようです。 このため1枚屋根から数枚屋根に変更したことも語られる。
師匠伊藤豊雄よりしなやかな作品が多い。 曲がりくねった薄い屋根と柱に重量感が無いからでしょう。 弱々しくみえてしまう時もある。 同時期の作品では西武鉄道「ラビュー」(2018年)があります。 丸みのあるシルバー色で蜻蛉のような大きな青目の運転窓を持つ列車は親しみがある。 その姿は風景にピッタリ納まる。 新校舎も同じです。