■イケムラレイコ、土と星

■国立新美術館,2019.1.18-4.1
■イケムラレイコの名前は聞いていたがまとめてみるのは初めてだ。 自然や生命の輪廻に東洋観が滲み出ている。 ドローイングをみると彼女は彫刻家が本業だとわかる。 線が物質を引き寄せようとしている。 その答えが「有機と無機」に集められている。 振り返るとこの章が一番楽しかった。 以降も彼女の物語が展開する。 「少女」「アマゾン」「戦い」「うさぎ観音」と。
しかし後半はもう一歩踏み込んで抽象になっていく。 「山」「庭」「木」「炎」「地平線」と。 西洋でも東洋でも無い不安定さがある。 不安定さが静まった最新作「うねりの春」は宇宙的幽玄を感じる。 東洋的カンディンスキーである。 このような絵画が何枚かあったが辿り着いた現在到達点にみえる。 粘土彫刻は彼女の物語だが絵画は彼女の宇宙観を表現しようとしている。 この土と星は繋がっているが推考を重ねるほど彫刻から絵画へ向かうのだろう。
*館サイト、http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/Ikemura2019/