■八木一夫と清水九兵衛、陶芸と彫刻のあいだで

■菊池寛実記念智美術館,2017.9.16-12.3
■館周辺は坂が多い。 坂が多いと木々も目に入り易い。 ホテルオークラの工事が終われば再び緑豊かになるのかな? ホテルは建て替えるほど無機質になるから心配である。
先ずは八木一夫「ザムザ氏の散歩」から入る。 題名も作品も面白い。 彼は時代をまともに受け止めてその思想動向を形にしたいと四苦八苦している。 十数点をみてそのように思えた。 「教養としての古典を基盤に、↑したい」と彼は言う。 ザムザや走泥社の名前はその表れにみえる。 思想を咀嚼した成果を積み重ねていくような作品群である。
後半は清水九兵衛だ。 最初の作品を見てホッとしてしまった。 八木とはあたりの雰囲気から違う。 解説文に清潔、端正、新鮮、フォルムという語彙を見つけたがそれが漂う。 彼は鋳金から入ったらしい。 途中陶芸もしたが再び彫刻に戻っている。 陶食器が展示してあったが微妙に薄いのは金属感から来るのだろう。 食器作品は自身がそれを手にとり唇にあてた触感を想像をしながら眺める。 そこから微妙に薄いと感じ取ったのだが。 1990年以降のアルミやガラス、紙の作品は魂を1960、70年に置いてきてしまったようだ。 二人はやはり20世紀真っ只中の人である。
*館サイト、http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html