■運慶

■東京国立博物館・平成館,2017.9.26-11.26
■三次元の仏像をみるときは視点が全方向へ延びるので混雑度はあまり気になりません。 作品をひと回りできる配置も気に入りました。 背中からみるのも乙なものです。
日本史教科書に載っている慶派仏像の大部分が揃っていて壮観ですね。 無いのは金剛力士像(東大寺、興福寺)くらいですか?
初章が運慶の父「康慶から・・」で始まるのも面白い。 比較することで運慶が見えて来るからです。 デビュー作「大日如来坐像」(円成寺)から既に写実の中にリアルな発現をみることができる。 それは終章の「運慶の息子・・」で再び運慶との違いが何かを考えさせられる展示になっている。
運慶は写実からあるものを変換しようとしている。 それは具体を豊穣な抽象にまで高める力だと思います。 特に脂がのっている時期の「八大童子立像」(金剛峯寺)にはそれが表れている。 芸術をみる喜びがやって来ます。 当時の依頼者も運慶と慶派の微妙な違いを仏教を超えた芸術として無意識的に感じていたのではないでしょうか。
*興福寺中金堂再建記念特別展
*館サイト、http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1861
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