■狩野元信、天下を治めた絵師

■サントリー美術館,2017.9.16-11.5
■狩野元信の絵はどこか暖かさがある。 人々の顔は穏やかであり雪の風景でも柔らかい青葉が目に入るからだろう。 霞みがかった空気にも心が和む。
彼は工房主宰者として能力を発揮したようだが組織の動かし方・広げ方が現代的だ。 それは南宋画家の筆様を再構成し真体・行体・草体の画体を創り出しこの型を工房の柱にしたことである。 しかも漢から和に広げ寺院や幕府だけでなく新興商人などの要望に応えている。 組織人として内に外に見事と言うしかない。 副題に納得! 元信押印の作品は工房作だと思うがどれも素晴らしい。 これも組織活動としての成功例である。
ボストン美術館蔵「白衣観音像」が出品されていたが狩野芳崖の観音像や手塚治虫の仏教漫画を思い出してしまった。 どちらも元信の影響があったのだろう。 この後に続く永徳・探幽の作品を前にする時でも元信を知っていることでより深みのある観方ができるとおもう。
*六本木開館10周年記念展
*館サイト、http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2017_5/index.html