■岸田吟香・劉生・麗子、知られざる精神の系譜
■世田谷美術館,2014.2.8-4.6 ■ 吟香58歳に息子劉生が生まれ14歳の時に亡くなっている。 そのため父吟香と劉生の繋がりが見え難い展示だった。 むしろ銀座の地や14人の兄弟姉妹の関係が強く出ている。 そして劉生と麗子は所謂普通の父娘だったようにみえる。 吟香の時代を見据えた柔軟性は大したものである。 液体目薬の販売は成功したらしい。 健康食品や書籍・受験参考書なども現代を先取りしている。 文化人との付き合いも同様である。 劉生の絵は「あるということの不思議」と「個の表現」が見事に統合されている。 セザンヌとデューラを混ぜあわせた感じだ。 麗子像以外にも満足のいく静物や風景画が展示されていて嬉しい。 初めて知ったが、劉生30歳以降の活動には驚く。 帝劇・市村座・進富座への芝居三昧、長唄や三味線、芸術論の出版、そして日本画への接近。 この広がりこそが吟香から引き継いだDNAかもしれない。 麗子は絵画・演劇・文筆と劉生を引き継いでいる。 明治大正昭和の一味違った時代の切り口をみることができた。 *館サイト、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00169