■片山利弘、領域を越える造形の世界  ■スカルプチャーズ、彫刻となる場所

■武蔵野美術大学美術館,2021.4.5-6.20
□片山利弘,領域を越える造形の世界
■「片山利弘の全貌を紹介する初めての展示」とチラシに書いてあった。 彼の名前を聞かないのは海外の仕事が多かったこともある。 日本での本格的な仕事は1980年代からだ。 展示は4期に分けられる・・
第1期 日本での(初期の)仕事(ー1962)
第2期 スイスでの仕事(ー1966)
第3期 アメリカでの仕事(ー1995)
第4期 領域を越える活動(1977-2013)
スイス時代のコラージュ作品から片山独自の形態が登場する。 金属結晶を画像処理で拡大したような精密画が並ぶ。 数学の影響も感じられるが、当時はコンピュータも発達していない。 語学不足のため仕事に制約があったと言っているが、それだけ狭く深く研究していたのだろう。 
アメリカ時代はグラフィックを引き続き発展させトポロジーなどを取り入れている。 同時に温かみの有る作品もでてくる。 どれも「Less is more」に向かっているのは確かだ。
第4期に入ると物を扱う作品が多くなる。 それは抽象から具体への流れでもある。 建築装飾や公園設計、彫刻、舞台美術、文房具などに広げていく。 この中で気に入ったのはキャンバスに糸を張ったミクストメディア。 純粋美術に近い作品群だが緊張と弛緩が混ざり合って何とも言えない感覚が訪れる。
同時代の田中一光は展示会などでみていたが、こんかい片山利弘を知って日本のグラフィックデザイナーたちの位置関係がまた少し分かった。
□スカルプチャーズ,彫刻となる場所
■作家:戸谷成雄,船越桂,伊藤誠,青木野枝,三沢厚彦,西尾康之,棚田康司,須田悦弘,小谷元彦,金氏撤平,長谷川さち
■11人の作家が5点前後の作品を展示する内容。 素材や技法、作風は皆違う。 タイトルにあるように作品間の場所の関係性などを考慮しているようだが、どれも傑作ぞろいで気楽に観て回った。