■東山魁夷展、生涯をたどる美しき道

■新国立美術館,2018.10.24-12.3
■東山魁夷をまとめてみるのは久しぶりだ。 初めての作品もある。 彼の絵は独特な静かさがある。 夢を見ているのようにも思える。 これだけの作品を並べると装飾性ある構図はまだしも写実に近づくほど清涼感を越えた冷々な湿気が押し寄せてくる。 唐招提寺壁画「涛声」がそうだ。 「黄山暁雲」「桂林月宵」も見応えがあるが「充実した無の世界」とはまた違った世界にみえる。 それは人間のいない自然がすぐ近くに迫っているような寥々たる世界だ。 「揚州薫風」も不気味一歩手前のところで踏みとどまっている。 作者はこの湿気から逃げられない。
1940年代、例えば「残照」にはまだ自然の生気が感じられたのだが・・。 生気があるのはそこに人間が確かにいるからである。 南へ旅をして暖かい湿気を作品にしたらまた違っただろう。
*生誕110年展
*館サイト、http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/kaii2018/