■藤田嗣治展

■東京都美術館,2018.7.31-10.8
■「画業の全貌を展覧する」とチラシに書いてあった。 その通りの内容である。
1章「原風景」の作品から藤田嗣治と父や黒田清輝との関係を初めて知った。 2章「はじまりのパリ」のキュビスムの真似事やユトリロ以上のパリ風景もそうだ。 しかし「空や道の地の比率の大きさが乳白色へ進んだ・・」とは考えられない。 でも「子供は特定のモデルだった・・」には納得。 レオナール・フジタの時代でも子供は1910年代の特徴が感じられる。
3章「1920年代」の「座る女」を筆頭にした数枚は乳白色デビュー直前の絶好調の作品にみえる。 それは上昇志向の強さとでも言ってよい。
一番面白かったのは5章「1930年代・旅する画家」で色々な肌色が比較できたことだろう。 4章「乳白色の裸婦」作品群と「リオの人々」「ラマと四人の人物」の中南米の褐色、「ちんどんや」「魚河岸」などの日本肌、「客人(糸満)」「孫」の沖縄の肌。 どれもが素晴らしい。
1950年になると黄昏が近づく。 7章「戦後の20年」の「ホテル・エドガー・キネ」「姉妹」「室内」・・。 寂しさが漂っている。 これを振り払うかのようにしてカトリックの道へ進む。 彼の画業はここまでだとおもう。 8章「カトリックへの道行き」はもはや宗教活動である。
彼の行く先々には戦争が待ち構えていたという波乱の人生が直に伝わって来る展示会であった。
*藤田嗣治没後50年展
*館サイト、https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_foujita.html
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