■川端龍子-超ド級の日本画-

■山種美術館,2017.6.24-8.20
■代表作と木版、俳句などで川端龍子の全体像が簡素にまとめられています。 彼は1907年(22歳)洋画家の道へ、1913年(28歳)日本画に転向、1928年(43歳)画壇から離れ「青龍社」を設立し独自の道を歩みます。 「・・多くの人々に展覧会の場で身近に鑑賞できるようにする」と言う彼の「会場芸術」は時代の先取りをしていますね。
初期には質量感ある光や空気、燃えるような草花を描いています。 しかし筆致は時代とともに変わっていく。 1930年前半の作品群が気に入りました。 微妙な色合いの淀んだ水と淡水魚としての存在感が出ている「鯉」(1930年)。 トビウオの目が面白い「黒潮」(1932年)。 東南アジアの自然と女性の大らかな空気が伝わってくる「羽衣」(1935年)等々をです。 それにしても30年代の筆のバラエティは素晴らしい。 そのまま戦争に突入しますが妻や子供の死も重なり戦後の作品は見えなくなってしまった。 展示数が少ない為もあります。
彼は1910年代に出版社で子供向けの表紙絵などを描いています。 その巧さは「花鳥双六」(1917年)をみてもヒット商品を予感させます。 戦後の象花子を描いた「百子図」(1949年)にもそれが表れている。 「会場芸術」を考えたのも当時の仕事から社会をみる目を養った結果でしょうか?  没後50年記念特別展。
*館サイト、http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/kawabata.html