■レオナルド・ダ・ヴィンチXミケランジェロ展

■三菱一号館美術館,2017.6.17-9.24
■「なんだ素描だけか・・」。 会場内で聞こえてきたが展名だけでは内容は分からない。 しかも大袈裟な展示名だ。 芸術でメシを食っていない人からみれば素描は未完成品と考えてしまう。 先の客の声もわからないことではない。
作品が小さいので最初は整列しながら観ていく。 しかし十枚もみれば多くの人は飽きてくるからモソモソ割り込んでも皆気にしなくなる。 後半はファクシミリ版も混ざっているようだ。 素描は一人でじっくり版でも開くのが適している。
壁に貼ってある二人の言葉は面白い。 「優れた素描作品を模写しなさい・・」「素描しなさい、素描しなさい・・」。 些細な差だが二人の違いが現れている。 「平らなものを立体にみせる絵画は彫刻を凌駕する」「大袈裟な議論は止めにしたい」。 二人の位置付けがわかる。
文字の比較も面白い。 ミケランジェロの文字をみて笑ってしまった。 いっけん真面目そうな女子高校生が書いたような文字である。 どうみても彫刻的だろう。 レオナルドの鏡文字はまさに思想をまとめようとする息遣いが伝わってくる。 文字を手段として使用しているのが見える。
「絵画と彫刻は素描から生まれた」。 この言葉は二人の共通認識かもしれない。
*館サイト、http://mimt.jp/lemi/