■ピエール・アレシンスキ展、おとろえぬ情熱・走る筆  ■きんしゃい有田、珠玉の器紀行  ■佐藤忠X古門圭一郎、こよなくあいまいな風景

■ピエール・アレシンスキ展,衰えぬ情熱・走る筆
■Bunkamura・ザミュージアム,2016.10.19-12.8
■会場出口に近づくほど観る楽しさが累積していく。 副題通りの内容である。 「墨美」に出会えたのも印刷・本・挿絵を専攻していたからだろう。 毛筆なら画も筆もカンバスを床に置くのは当たり前だがアレンスキも床を発見したのが分かる。 しかしジャクソン・ポロックが床にカンバスを置いたのは1943年頃だから彼は10年遅れる。 「書く」から「描く」の移行は彼の母語が象形文字でなかったからだろう。 この橋渡しをしたのが「オレンジの皮」(1962年)のような表現だと思う。 以後皮は彼の作品を覆っている。 途中に17分の映像作品「日本の書」(1955年)を上映していた。 刺激的な内容のため2回も観てしまった。 森田竹草、中野越南、篠田桃紅、大沢雅休?、江口草玄そして森口子龍が登場する。 アクリル絵具を得た後半の作品群は素晴らしい。 「肝心な森」(1984年)前後は絶頂期だろう。 2000年代になってもテーマをずらしながらこれを維持している。 最後の紹介映像を見て彼は左手で描いていることを知った。 鏡像文字を含め幾つかの疑問が解決した。 副題通りの展示会だった。
*館サイト、http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_alechinsky/
■きんしゃい有田,珠玉の器紀行
■Bunkamura・ギャラリ,2016.11.2-8
■陶芸家16人の器をみて所有欲がメラメラと湧いてきてしまった。 目が喜び欲しがっているのがわかる。 日常生活でこのような器に囲まれていたら幸せだろう。
*館サイト、http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/161102kinsyai.html
■佐藤忠X古門圭一郎,こよなくあいまいな風景
■Bunkamura・ボックスギャラリ,2016.10.29-11.6
■二人の作品は陽極と陰極のようなものだ。 素材も見栄えもまるで違うが一緒にしても文句が出ない。 しかし事務的な都合で二人展にしたのかもしれない。 あいまいな風景とはこのことを言うのだろう。
*館サイト、http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/box_161029indepth.html