■幻のモダニスト堀野正雄の世界

■東京都写真美術館
■初めて聞く写真家です。 入場した途端イエーツやチェーホフ、石井漠や崔承喜でこれはいけると感じました。 実験写真は船や橋などの鉄を対象にしています。 ロシア構成主義の躍動感はありませんが、工業生産物への関心度や存在表現は十分です。
雑誌「犯罪科学」に掲載された写真群は生活の奥へ直進していきます。 「玉川ベリ」は多摩川を散歩する人々→河原の砂利採取で働く人々→人々は内地人(日本人)だが多くは鮮人→1日30銭の日雇い→河原のバラックで生活している様子。釘付けです。
しかし1930年中頃から体制側へ与していきます。 アサヒグラフの表紙を飾った「姑娘の鉄道警務手」「盛装の蒙古婦人」は社会の面白い断片を掬い上げています。 30年代の風景を他写真家と違う分節化をした堀野の作品は印象的でした。
*館チラシ、http://syabi.com/upload/3/1540/horino.pdf