■古屋誠一メモワール、愛の復讐、共に離れて

■東京都写真美術館,2010.5.15-7.19
■家族の肖像の背後にある20世紀ヨーロッパを思い出させてくれた。 亡きドイツ人妻の写真に日本の戒名を張り付けた作品がまず目に入る。 そして数十枚の妻や子供の写真がそれに続く。 絵画なら1枚で済むものを写真だとこうも必要なのか。 そして作者の意思とは無関係に観る者は作品を勝手に深読みしていく。 東ベルリン1985年の風景は静寂そのものだ。 ソビエト崩壊が来るまで1945年のままで止まっている。 写ってはいない戦争の残匂が感じ取れる。
古屋はシベリア経由でヨーロッパに行ったとパンフレットに書いている。 日本人がヨーロッパへ行く経路はとても重要だ、と言ってるように思える。 飛行機で表玄関のパリや裏玄関のモスクワしか選択できない者には羨ましい限りだが。
*美術館、https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-18.html