■ルイーズ・ブルジョワ展
■森美術館,2024.9.25-25.1.19
■六本木ヒルズの巨大な蜘蛛の彫刻を見るたびに作者はどんな人なのだろうか?と想像していました。 その思いとはかけ離れていましたね。 なんと!トラウマの塊りを持つ人だった。 展示会の帰りに再び蜘蛛を見上げながら、なるほど、そういうことだったのか・・。
場内はある種の緊張感が漂っている。 不気味な静寂です。 神妙に作品と対峙してしまった。 「魔法・謎・ドラマは決して失わない」。 ルイーズの言葉が作品に内包されている。
彼女の経歴映像からトラウマが何であったのかが朧気ながら見えてきました。 それは世界共通ともいえる家族に集約されていく。 母との蜜月、父の特異な性格、繁盛したタペストリ修復業の家庭、そして家庭教師と父の関係、姉妹のこと、従弟の突然の侵入、結婚してからは夫や子供の存在、これらの関係を全ての作品に塗り込めていく。 「私を見捨てないで!」。
「地獄から帰ってきたところ、言っとくけど、素晴らしかったわ」。 素晴らしかったかどうか?は分かりません。 でも母の子供として子供の母として充実した人生だったことに最期は納得したはずです。 「蜘蛛の巣」はルイーズの傑作だと再確認しました。 それは母親の象徴でもあったのですね。