■カナレットとヴェネツィアの輝き

■SOMPO美術館,2024.10.12-12.28
■カナレットが人名とは知らなかった。 当初はカナル・グランデ(大運河)に関することかな?と思っていました。 舞台美術家の父カナルと区別する為に「小さなカナル」つまりカナレットと呼ばれたらしい。
カナレットはヴェドゥータ(景観画)を描き続けた。 今なら名所絵ハガキに該当するのでしょう。 ヴェネツィアは行ったことがあります。 カナレットの絵を観ていると旅行のことが甦る。 今でも景観画の役割は立派に果たしていますね。 旅行者の思い出に残る風景を描いているからです。 でもカプリッチョ(綺想画)のように空想まで取り入れない。 実際の風景の構図を整える程度です。 そこに舟や人々を華麗に配置する。
版画も1章を割いて展示されていたが素晴らしい。 建物の線はビシッと決まり、人物は活き活き描いている。 カメラ・オブスキュラという機器も使っていたらしい。
彼はグランド・ツアー客に作品を売って大儲けしたようです。 その関係で後半はイギリスへ渡り景観画を描いた。 その作品も展示してあるがヴェネツィアのような親しみさは無い。 たぶん気候なども関係したはずです。
後半の章では同時代の画家たちの作品が展示されている。 でもカナレットには敵わない。 その一人ウィリアム・ジェイムズの絵は「硬質で味気ない」と言われたらしい。 まったくその通り。 比較するとカナレットの豊かさを再認識します。
終章にあった印象派画家が描いたヴェネツィアはまったくの別世界です。 比較できない。 今回の展示を観てヴェネツィアへまた行きたくなってしまった。