■ヘルムート・ニュートンと12人の女たち

■監督:ゲロ・フォン・ベーム,出演:シャーロット・ランプリング,イザベラ・ロッセリーニ他
■UPLINK吉祥寺,2021.12.25-(ドイツ,2020年作)
■タイトルの12名が載っていたがアナ・ウィンターとスーザン・ソンタグしか知らなかった。 顔を見たら数名増えたが女優やモデルが多い。 彼の妻ジューン・ニュートンも入っている。
前半は彼の作品解説が続く。 当時の時代背景や人間関係、制作の裏話などが面白い。 もちろん写真はコクがあって目が離せない。
流れが単調になり飽きてきた頃に彼の出自の話に移る。 ここでニュートンの謎が溶けた。 それは彼がワイマール共和国に生まれ育ったことにある。 ナチズムが成長していく時代の混乱をモロに受けている。
彼の作品は「レニ・リーフェンシュタールの真似だ」と言われていたがその通り、隠すことはない。 違うのは被写体がリーフェンシュタールから政治精神を抜き取った身体にみえることだ。 そこに現代の差別や女性蔑視とは違う何かが感じられる。  それは豊穣だが無機質の輝きを持っている。 共和国でのユダヤ人の生き方が後々にも表れてしまったのだろう。 彼がピエロのように陽気になるのもそれだ。
後期作品をブッラサイと比較していたがニュートンはここでも都市精神を抜き取ってしまった。 その後にマネキン人形へ進んだのも頷ける。 ところで12人の多くは婆姿で登場するが当時の写真との比較がまた楽しい。