■クリスト、ウォーキング・オン・ウォーター

■制作:イザベラ・ツェンコワ他,監督:アンドレイ・M・パウノフ,出演:クリスト,ヴラディミア・ヤヴァチェフ他
■ユーロスペース,2020.12.19-2021.1.15(アメリカ・イタリア,2018年作)
■2016年イタリア、イゼオ湖でのクリストの創作過程を追ったドキュメンタリー映画です。 1970年にジャンヌ=クロードと共に発想し50年を経て日の目を見た作品らしい。
クリストは当時80歳を越えているが、行政との弛まない折衝・会議、市民への説明・講演、制作途中や完成後のアクシデント対応で休まる場面が一度もない。 頑固一徹な彼の性格が素晴らしいパワーと情熱を生み出している。 それ以上にスタッフは大変です。
湖上に22万個の立方体フロートを並べ5千トンの鎖で繋げて浮かぶ桟橋を作る・・。 フロート材は白ですがその上に黄色い布を被せる。 彼の作品は布で包まなければいけない。 しかも今回のように<建築>から作る作品は珍しい。 空から見ると布の皺皺が見えて壮観です。
完成後に市民を招待しますが5万人/日も訪れて大混乱に陥る。 入場制限せざるを得ない。 大きな事故もなく終わりましたが、その数か月後に砂漠の中で次の作品を検討している彼の姿には驚嘆します。
当作品「浮かぶ桟橋」は東京湾に作成する案もあったが許可が下りなかったようです。 映画では語られなかったが湖の生態系にも影響があるでしょう。 環境に敏感なオラファー・エリアソンとは違います。 この意味でクリストは20世紀、エリアソンは21世紀型の作家と言えるかもしれない。