■デヴィット・リンチ、アートライフ

■監督:ジョン.グエン他,出演:デヴィット.リンチ他
■(アメリカ・デンマーク合作,2016年)
■映画監督デヴィット・リンチの作品は欠かさず観て来たが彼の経歴はよく知らなかった。 ギャラリー等で彼の絵画・版画に何度か出会ったことがある。
この映画は1946年リンチ誕生から「イレイザーヘッド」(1976年)デビュー迄の30年間を撮ったドキュメンタリーである。 作品を作りこむ近況のリンチを映しながら、随所に過去の写真を入れインタビュー音声を被せた構成だ。
リンチの青春は美術一筋だったことが判明した。 「画家になる!」と、電流が流れるように決めたと彼は語っている。 絵画や版画の出来が素人を越えていた理由が今わかった。 そしてAIF奨学金を得てから映像へと方向を切っていく。
彼の子供時代が活き活きと描かれている。 両親や弟妹、学校や近所の友人と豊かな人間関係を形成したらしい。 子供時代を人生の宝として彼は持ち続けているのだろう。 作品に<手作りの楽しさ>があるのは宝の一つだとおもう。 苦しい1960年代に絵画を描き続けられたのも宝の貯金かもしれない。 カルトの帝王であるリンチの作品が持つ豊かさの源泉に遡ることができた。