■白髪一雄  ■汝の隣人を愛せよ  ■今井麗

■東京オペラシティアートギャラリー,2020.1.11-3.22
□白髪一雄
■フット・ペインティングへ移ったのは作者の身体が疼いたのだろうか。 それにしても足描画は荒々しい。 しかも似たような作品が多い。 映像を観て理由が分かった。 綱にぶら下がっても滑ってしまい体の制御が効かないのだ。 J・ポロックの制作映像を思い出してしまった。 ポロックは制御ができた(はず)。 この違いは大きい。
白髪一雄が途中からスキー板やスキージを使いだしたのも無制御が不安になったのかもしれない。 また宗教への接近から曼荼羅が持つ規則性を描こうとしたのかもしれない。
それでも泥遊びやチャンバラに夢中な彼の写真をみるとやはり身体作家だとおもう。 彼の作品は即興ダンスと同じく一回限りの行為で会場の展示はその記録である。
*館サイト、https://www.operacity.jp/ag/exh229/
□汝の隣人を愛せよ
■20人強の画家たちを一同にみることができて嬉しい。 小作品が多いがタイトル名と同じく凝縮力の強い作品が多い。 じっくり見ていると味がでてくる。 キリスト教系の作品は見応えがある。 小嶋悠司の母子象や坂部隆芳のピエタ像は宗教の深みへ誘われる。 開光市や加藤清美、落田洋子、吉岡正人など普段みることができない個性豊かな作品も楽しい。
*館サイト、https://www.operacity.jp/ag/exh230.php
□今井麗
■湿気を含んだ梅雨時のような青系の作品が多い。 その滑らかな描き方が目に入る全てのモノを肯定しているように感じられる。 作品の「テラス」「静物」などなど、木々草々や果物の率直性が単純化した中にみえる。 観る者もその清々しさに心打たれる。
*館サイト、https://www.operacity.jp/ag/exh231.php