■<感情・表徴・情念、ゴダールの「イメージの本」について>展
■プロデューサー:ファブリス・アラーニョ
■新宿・王城ビル,2025.7.4-8.31
■王城ビルへ初めて入る。 窓はすべて閉じられている。 とても暗い。 壁と床しかない。 何も無い廃墟だ。 そこに何台ものモニタが「イメージの本」を断片的に映し出している。 関連する書籍が所々に置いてある。 さいごにJ=L・ゴダール自身が語る解説動画で締める。
床に散らばっていた本は、・・「愛について」(D・ルージュモン)、「フォーヴィスム」(画集)、「パレスチナ詩集」(M・ダルウィーシュ)、「フランシス・ベイコン」(画集)、「マネの生涯」(H・ペリュショ )、「マティス」、「ラ・トゥール」、「ドラクロア素描集」(画集)、「文化の擁護」(A・ジット他)、「西欧の誘惑」「侮蔑の時代」「希望」「東西美術論」「人間の条件」(A・マルロー)、「骰子一擲」(S・マラルメ)、「法の精神」(モンテスキュー)、「田舎司祭の日記」(G・ベルナノス)、「獣人」(E・ゾラ)、「パウル・クレー」(画集)、「波」「自分だけの部屋」(V・ウルフ)、「リルケ詩集」、「歴史とユートピア」「崩壊概論」「思想の黄昏」「オマージュの試み」「絶望のきわみで」「敗者の祈祷書」(E・M・シオラン)、「抵抗の美学」(P・ヴァイス)、「アンナ・カレーニナ」(L・トルストイ)・・。 マルローとシオランが多い。
「イメージの本」は2019年4月にシネスイッチ銀座で観ていた。 「映画史」の続編のような記憶があったが定かではない。 王城へ行く前に配信で再度観る。 前半は映像と音響が共鳴し刺激的だ。 引用作品の多くは懐かしさがある。 しかし「法の精神」でシラケてしまい、次のアメリカとアラブはリズムに乗れなかった。
それにしても、中身の薄い展示だった。 王城ビルを出たら太陽が眩しい。 40度はあるだろう。 暑くてゴダールのことが考えられない。 真昼の歌舞伎町から早く逃げたい。